日本CTO協会では「DX」という言葉を2つの意味で捉えています。
一つは、企業がどれだけ経営に対してデジタル技術を用いたビジネス変革ができているかを表す企業のデジタル化(Digital Transformation)です。
もう一つは先端開発者にとっての働きやすい環境と高速な開発を実現するための文化・組織・システムが実現されているかを意味する開発者体験(Developer eXperience)です。
これらの2つは、経営にとってヒト・モノ・カネが一体であるように、一体で実現されるものです。デジタル技術は目に見えないため、しばしばわかりやすいものにだけ投資して見えない品質をおろそかにしてしまいます。そのため、開発者体験は悪化し、企業のデジタル化を阻害してしまうことがあるのです。
私たちは、「2つのDX」を一体で捉えた基準をつくり、その普及をしていきたいと考えています。
DX Criteriaの目的 は 「超高速な事業仮説検証能力を得ること」です。 そのために、必要な様々な組織習慣や能力について以下のポイントに注目してつくられました。
項目 | 説明 |
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組織文化と「見えない」投資 | 高速な開発を行う組織には一度体験しないと価値がわかりにくい投資や習慣があります。この説明コストの高さを軽減し、導入を促します。 |
タスク型ダイバーシティ | 事業価値あるサービスが実現するためには様々なデジタル人材と既存事業人材の相互理解と共創関係が必要で、この進展を促します。 |
メリハリのあるIT戦略 | 標準化・コモディティ化した領域については外部サービスを利用し、競争領域に特化して内製化をすすめるためのメリハリのある投資を促します。 |
組織学習とアンラーニング | 新しいツールや潮流に挑戦するための組織学習と、時代が変わってしまった習慣のアンラーニング(学びほぐし)を促します。 |
自己診断と市場比較 | 関連するレポートと自己診断によって競合状況との差を認識しやすくし、自社の強み弱みを理解して段階的に変化できるように促します。 |
5つのテーマ、8つのカテゴリ、8つの項目で全320個のチェック構造を持っています。
項目 | 概要 |
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チーム | システムに関わるチームがどれだけ生産的に高速な仮説検証や開発を行うことができる状態にあるかをチェックする。 |
システム | システム自体がレガシー化されずにどれだけ安全かつ高速に改善できる状態にあるかをチェックする。 |
データ駆動 | 社内外のデータがどれだけ活用しやすい状態にあるか、また経営や意思決定に活用されているかをチェックする。 |
デザイン思考 | デザインとUXから事業価値を生み出すために必要な仮説設定能力や習慣、効率的に行うための組織についてチェックする。 |
コーポレート | 経営やミドルオフィス・バックオフィス機能がどれだけデジタル戦略を意識した活動ができているかをチェックする。 |
項目 | 概要 |
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メトリクスの計測 | DXの進んだ組織においては、従来型のパフォーマンス指標とは異なる指標が計測・管理されることがある。それらを計測/管理しているかを問う。 |
学習と改善 | 失敗も含め、組織学習を健全に回すためのサイクルが回っていると新しい挑戦や改善がうまれやすい。そのため、そのサイクルの存在を確認する。 |
プラクティスと習慣 (各3) |
デジタル化の進んだ企業群では当たり前に行われる習慣や実践手法が行われているかを確認する。経営数値に見えにくい文化レベルの成熟をとらえるためにチェックする。 |
アンチパターン (各3) |
デジタル化が進む過程で減っていく慣習的行動をチェックする。逆指標として用いる。古い常識によって生まれていることであり、組織的なアンラーニングが行われているかを確認する。 |
日本CTO協会では、DX Criteriaの基準づくりを継続的にアップデート/アップグレードするための専門家、CTO個人会員、法人会員、学術機関・調査機関などの賛助会員様を 募集しています。
以下のリンクから、お問い合わせをお願いします。 https://cto-a.org/